月刊誌「理容白石通心」20年続けてわかったこと



静岡県榛原郡吉田町で、一人営業の理容店を続けています。

理容白石通心ファイル

2006年2月、最初の一枚を刷りました。
読まれるかどうかも、続けられるかどうかも
当時はわかりませんでした。

それでも、お客様に何かを届けたいという気持ちだけで始めた月刊誌が
今年で20年目を迎えました。

続けてきてわかったことを書きます。


Q1. 「理容白石通心」とは、どんな冊子ですか?

A. 当店が毎月発行している、手作りの月刊誌です。

2006年2月の創刊から現在まで、毎月欠かさず発行し続けています。

内容は、店の基本的な情報や店主の取り組み、季節の話題。
そして、妻が手書きで描く愛猫・麦ちゃんの一コマ漫画。

ご来店の際に手渡しでお届けしている
当店だけの小さな月刊誌です。


Q2. 形式は最初から今の形だったのですか?

A. いいえ。大きな転換点が二度ありました。

創刊当初は封書に4枚の文書を同封してお客様に郵送していました。
読んでもらいたいという気持ちが
ページ数に出ていたのだと思います。

2009年4月、第一の転換点。

封書4枚から両面印刷1枚のシンプルな形式へ。
情報を絞り、読みやすさを優先する形に変えました。

2017年2月、第二の転換点。

郵送から手渡しへ。
ご来店の際に直接お渡しする現在の形式に変わりました。

郵送から手渡しに変えたとき、何かが変わりました。
受け取る瞬間が、会話のきっかけになった。
渡す側も、受け取る側も、少しだけ温度が上がった気がしました。


Q3. 一コマ漫画は、いつから始まったのですか?

A. 2008年6月から。当初は、飼っていた二匹の犬の漫画として始まりました。

毎号の日々のエピソードを描き続けるうちに人気コンテンツに育ちました。
「漫画、楽しみにしてる」という声が少しずつ聞こえてくるようになりました。

愛犬との別れを経て2020年7月からは
突然転がり込んできた愛猫・麦ちゃんが主役に。
妻が毎号、手書きで描き続けています。

文章よりも先に漫画に目がいく、というお客様も少なくありません。
一コマの絵が、文字よりも多くを伝えることがある。
そのことを、漫画から教わりました。

一コマ漫画「ほんわかニコニコワールド もふもふ達の日常」は
ホームページのブログへアーカイブしてあります。
創刊号や、娘が書いた漫画、愛犬の介護、別れなどもご覧いただけます。

https://riyo-shiraishi.jp/74288/category/%e3%82%82%e3%81%93%e3%81%be%e3%82%81%e3%82%80%e3%81%8e%e6%97%a5%e8%a8%98/


Q4. 20年続けて、何がわかりましたか?

A. 読まれていなかった文章が、ある日読まれていたことがわかりました。

正直に言えば、通心の文章部分がどれほど読まれているか長い間わかりませんでした。
男性の多くは語ることをしません。

ところが、手渡しに切り替えてから少しずつ変化が起きました。
ごく稀に、おなじみさんが文章の内容に触れてくれるようになったのです。

「あの記事、読んだよ」
「あそこに書いてあったこと、気になってた」
「長く続けていてすごいね」
「マメにいろんなことやっているね」

声をかけてもらえる回数は、今も多くはありません。
それでも、その一言が教えてくれることがあります。

読まれていた。
届いていた。
続けてきたことは間違いではなかった。

もうひとつ、手渡しにしてから気づいたことがあります。

持ち帰った通心が
ご自宅でご家族の目に触れることがある、と知ったのです。
来店されているご本人だけでなく
同じ家にいる方にも紙が一枚目に触れることがある。

来店はされていなくても関係性が育まれている。
そう実感する瞬間があります。
店とお客様のあいだだけでなく、その先の日常にも小さな接点が残っている。

フィードバックが少ないことと、読まれていないことは違う。
それが、20年でわかった一番大切なことです。



Q5. デジタルで発信が当たり前の時代に、紙を続ける理由は何ですか?

A. 手渡しにしかできないことがある、と感じているからです。

ホームページもブログもSNSも、届けようとすれば広く届けられます。
でも、手渡しにしかできないことがある。

受け取る瞬間の温度。
「今月も来たよ」という小さな継続の証。
帰り道のポケットや、自宅のテーブルの上にしばらく残る紙の存在感。

そして、ご家族の目に触れる可能性があること。
画面の向こうでは届きにくい場所へ紙なら届くことがある。

デジタルと紙は、競うものではないと思っています。
それぞれにできることが違うだけです。


Q6. これからも続けていく予定ですか?

A. はい。続けることが、当店の姿勢そのものだと思っています。

20年間、毎月休まずに発行してきました。
廃刊は考えたことがありません。

月に一度、おなじみさんの手に渡るものを作る。
その繰り返しが信頼の積み重ねになると思っているからです。

通心は、当店が店である限り続けていくつもりです。

理容白石のYouTubeチャンネルでは
通心発行20周年を記念した特別コンテンツ
「お客様に言えなかったこと、話します。」を公開しています。
そちらも、よければご覧ください。




まとめ:月刊誌「理容白石通心」20年でわかったこと

創刊:2006年2月。今年で20年目
形式の変遷:2009年4月に封書4枚→両面1枚へ。2017年2月に郵送→手渡しへ
一コマ漫画:2008年6月から連載。当初は愛犬、2020年7月から愛猫・麦ちゃん。妻が手書きで制作。HPブログにアーカイブあり
続けてわかったこと:フィードバックが少ないことと、読まれていないことは違う
手渡しで見えたこと:持ち帰った紙がご家族の目に触れることがある。来店がなくても、関係性が育まれていることがある
これからも:廃刊は考えたことがない。続けることが、当店の姿勢そのもの

20年でわかったのは、大きな何かではありませんでした。
ごく稀に届くフィードバックの、そのひとことだけで十分だった。
ご家族の目に触れた、という話も、続ける理由のひとつになりました。

静岡県吉田町で、細く長く店を続けるために。
通心は、おなじみさんとの「いつもの」つながりを、手元に残す小さな仕組みです。

ご来店の際は、月毎にお渡しする通心も、あわせてご覧ください。

理容白石 店主 白石俊之が執筆しました。




理容白石 公式リンク






吉田町神戸1637-8 駐車場3台


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2026年7月13日